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さらに、切込み角の小さい高送りミーリング工具は、切屑が
薄く、一刃当たりの送り量(fz)の大幅な増加が可能です。
これは、ラジアル方向への切削力の影響を最小にし、
工具の撓みを軽減します。
その結果、ミーリング加工の安定性・生産性の向上、
ビビり・消費電力の低減、長い工具寿命を実現します。
高送り加工用工具は、チップ交換式のミーリング工具から
始まり、超硬ソリッドエンドミルへも普及しました。
特に、小径加工で複雑な形状やキャビティを加工する際、
超硬ソリッドエンドミルは優れた性能を発揮する為、世界中
の金型製造業界で多用されるようになりました。
多種多様に変化する作業プログラム、低動力での高速
マシニングセンタ、CAD/CAMソフトの発展により、高送り
加工の優位性は、金型産業で認められるようになりました。
従来、超硬エンドミルと並び、比較的小径の高送りミーリング
カッターも多く利用されていました。
次いで、Fast、Feed、Facingといった三つのF(高速・高送り・
平面加工)を可能とする工具や、多用途に利用可能なチップ
交換式ミーリング工具の開発が行われ、現在ではそれらの
工具が主流となっています。
高送りミーリング工具
チップ交換式ミーリング工具の高送り加工では、適した
チップの選定が加工性能を高めるカギです。薄い切屑を
生成するよう設計された切刃形状は、切削抵抗を分散します。
高送りミーリング工具の切刃形状には、丸駒タイプと、標準
チップにコーナーRを大きく設けたタイプがあります。
どちらの場合も、小さい切刃角(通常10~17°)は、薄い切屑
生成と、切削力の要件を満たします。